平成1 4 年 度 J A H IS 中期計画
I T 活用による保健医療福祉サービスの飛躍的発展を目指して
目 次
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2.動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2−1 外部環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2−2 考慮すべき視点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3.方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 4.分野別年度計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 4−1戦略企画関連事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 4−2医事コンピュータ関連事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 4−3標準化・医療システム関連事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・11 4−4保健福祉システム関連事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 4−5事業推進関連事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 5.組織運営計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 5−1運営方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 5−2事業計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 6.予算計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 6−1費用構造の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 6−2中期予算計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 7. おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
1 . はじめに
J A HIS では、設立以来、各部門を中心とした年度事業計画を策定し運営してきた。しかし、昨年度実施され た機能アップ検討プロジェクトの活動を通して、J A HIS 全体としての中期的、戦略的観点から計画を立案し行 動することの重要性が明らかとなった。本年度実施された組織変更では、これを解決するため、新設された 戦略企画部が中心となって活動することとなった。
戦略企画部ではこの命題を受け、毎年度、次年度からの3カ年を計画期間とする中期計画を立案し、 J A HIS 全体としての戦略調整を行うこととした。
中期計画策定の目的は以下の通りである。
(1) J A HIS 全体としての中期重点方針を明示し、各領域における活動の基軸とすること。
(2) 各領域の重点課題について3カ年の見通しを明らかにし、これを各部門の次年度事業計画に反映 すること。
(3) J A HIS 全体としての対応が不十分である中期的課題について必要な調整を行い、各部門の次年度 事業計画に反映すること。
(4) 部門間で協同して改善すべき課題について、活動を促進し調整すること。
(5) J A HIS の意志を内外に明示し、統一した広報活動を実現して事業環境改善に資すること。 本年度は、平成15年度から平成17年度の3カ年を計画期間とし、以下の通り中期計画を立案した。
2 . 動向
2−1 外部環境
最近の行政の動きは e- J apan 計画を頂点とした IT 化戦略に絡めて、行政改革3ヵ年計画、財政経済 諮問会議等で医療に関する効率化、IT 化が指摘されて来た。昨年、それら指摘事項を盛り込んで医療 制度改革試案「21 紀の医療提供の姿」が厚生労働省にてまとめられ、更に、医療情報に関する部分を 反映して「医療情報のグランドデザイン」が提言された。このグランドデザインが今後の医療情報行政施 策の一つの指針として展開されることになると考えられる。
グランドデザインの中で一貫して述べられていることは医療の質の向上、効率化、安全性確保、情報 提供等の課題に対して医療の IT 化は不可欠であり、手段として電子カルテ、レセ電算処理システムの 普及推進を具体的に目標設定をして示しており、最終的には E BM の実現に向けて医療の IT 化を展開 することを示している。
また、この提言の中には医療情報システムを推進するうえでの主要課題が産官学の役割分担を 明示して網羅されており、それら主要課題に真摯に取り組むことは、正に医療情報を手掛ける業 界にとって強い追い風の状況にある。
ユーザ側の動きとしてこれまでの行政の動きに対して、日本医師会は医療の IT 化推進を言明し、情 報公開を積極的に行い患者の選択に対応する考えを示した。日本医師会の「IT 化宣言」や全国公私 病院連盟における「決議」において医療の IT 化推進と IT 化に必要な費用負担についてユーザ側から の提言がなされており、これらの動きは医療の IT化推進をより強力に後押しするものである。
2−2 考慮すべき視点
関連する外部環境を以下の2つの視点からJ AHIS として対応すべき項目、もしくは検討すべき項目に 整理すると次のようになる。
1)市場・事業環境
①医療の IT 化推進に関する重要な費用負担問題もグランドデザインで提起されているが、費用負担 の具体的方策は残念ながら提示されていないため、今後協議の土俵にのり、IT 化の効果を全体と して捉えて、その一部をIT 化資源に再配分すること等費用負担に関する討議を進める必要がある。 検討の際、市場構造が他の産業分野と異なり、需要と供給のサイクルが他産業のように回っていな い点等に留意する必要がある。
②医療 IT 化の障害の一つとして外部から指摘されているシステムの費用(価格)構造に対する論拠を、 情報システムの効果・効用を明確にし、官およびユーザに示し、コンセンサスを得る必要がある。
③電子カルテシステムの推進に新しい動きとして、従来の情報システムを扱う大手メーカーの他に新 規又は異業種より中小メーカー(J A HIS 未加盟が多い)の参入が目立っている。
④行政の情報公開と情報の電子化の進展により、従来紙で提供されていたマスタ情報等が電子デー タとして無料にてダウンロードが可能になるなど、従来の J A HIS の情報提供事業に影響が生じること が懸念される。
⑤電子カルテ等名称が先行して、その機能やシステム対象範囲等解釈により異なる部分が多く、共通 な商品イメージが必要とされている。
⑥ユーザである医療機関側に情報システムを導入し、設計し、運用を推進する母体が他の分野の IT 化推進状況に比べ、大規模病院の一部を除き、一般に極めて弱い状況にある。
⑦電子カルテや E BM の延長線としてWeb を活用した医療情報コンテンツビジネスや情報処理の共通 部分を中心とした A SP 事業を指向する傾向も出ている。これ等新しい事業分野や新しいシステム化 対象分野に対する取り組み対応検討が必要である。
⑧グランドデザインにある電子カルテシステム、レセ電算処理システムの普及推進についての目標値 達成に向けての対応策が必要となる。
2)標準化
①一般的に情報システム構築方法も全て一社で構築した時代から、複数ベンダによる構築の時代に 入りつつあり、さらに一歩進めて L INUX のようなオープンソースによる構築が指向されている。このよ うな変化に対する標準化が求められている。
②通信技術の発展による通信の速度、情報量、地域の拡大により、情報の広域化が急速に広がりつ つあり、地域連携、施設間連携によるデータ共有に伴い、セキュリティ確保、用語コード等の標準化 が望まれている。
③医療情報取扱い関連規約の国際/国内標準化に対する取り組みが国として弱く、J A HIS に対する 期待が極めて大きくなっている。
④普及の基盤整備(コスト低減の一つ)として、標準的電子カルテシステムの開発が産業界に向け提 言されている。これらS/ W パッケージ 開発に対する対応が求められている。
⑤標準化された仕様が会員企業で積極的に実装されていないとの指摘があり、標準化された仕様の 普及策が望まれている。
3 . 方針
商品の有用性を継続 的に享受するためには、市場が形成され、健全な競争のもとに、より良い商品が豊富 に供給されることが必須であり、企業活動の目的はこのような市場創造・市場拡大にある。会員企業の集合 体であるJ A HIS の主たる目的もまた、会員企業が共同して行うことが効果的である活動を行い、市場創造・市 場拡大の実現を通じて国民の健康で豊かな生活の維持向上に寄与することにある。
品質の向上やコスト低減を始めとするより良い商品の供給に努力することは当然のことであるが、J A H IS が 対象とする保健医療福祉情報システム市場は、以下に述べるような他の産業分野と異なる事業環境があり、 これにも留意しつつ市場創造・市場拡大を実現し、国民の健康で豊かな生活の維持向上に寄与しなければ ならない。
第一は、IT 活用に対する経済循環の状況である。一般産業分野では、ユーザが商品を活用して価値の創 造、競争力の強化を行い、獲得した成果から、より良い商品を購入するという経済循環に特別な制約は無く、 企業は市場の要望にあった商品の供給によって市場創造・市場拡大を実現することができる。しかし、J A HIS 活動の対象領域である保健医療福祉サービスは、社会保障基盤の一つであるため経済的側面を含めて行 政施策でその枠組みが定められている。この枠組みには、保健医療福祉サービス全体の IT 活用成果をIT 化へ再配分する機能が極めて不十分であり、これを改善しなければ市場創造・市場拡大を実現することは困 難である。
第二は、IT を活用する体制の状況である。前述のように、保健医療福祉サービス分野では行政施策が情 報システムの要求仕様に大きく関与してくるが、疑義解釈を必要とする診療報酬請求制度、公示から施行ま でが短期間であること、レセプト電算処理における一部の用紙による請求など、医療保険関係を始めとして 行政の諸制度や活動は必ずしも IT 活用を想定したものとなっていないため、コスト上昇や効果的な商品提 供の障害となっている。一方、サービス提供機関はその専門性から他の産業に比べIT活用手法への理解が 十分とは言えない状況にあり、コスト上昇や効果的な商品提供の障害となっている。このことはまた、ソフトウ ェアやサービスなど無形の商品に対する価値が適正に評価され難い傾向をもたらしている。このような状況 を改善しなければ市場創造・市場拡大を実現することは困難である。
第三は、標準化推進の状況である。保健医療福祉サービスの 質の向上と効率的な運用を目的として施設 間の連携と情報の蓄積・共有が推進されている。標準化はこれを実現する上で必須のものであるが、保健医 療福祉サービスは人の生命という複雑な情報を扱うこと、また、国民の多様な価値観への対応を必要とする ことから、技術面のみならず医学的、社会科学的な面も含めて標準化されなければならないという困難さが ある。
このような認識のもとに、以下をJ A HIS 活動の中期重点運営方針とする。 1)IT 費用再配分の社会的合意獲得
保健医療福祉サービスを効率的運用と質的向上を図る手段として IT の活用が不可欠という共通認識は 形成されつつある。これをさらに一歩進め、「そのためには、保健医療福祉サービス全体の IT 活用成果をI T化へ再配分する必要がある」との社会的合意を獲得すべく活動する。
2)IT 活用手法の普及促進
IT 活用の合理的手法に対する行政およびサービス提供機関の理解を深めるために以下の活動を行う。
(1)行政活動も IT 活用を前提とすべきであることについて関係者に理解を求めるべく活動する。
(2)効果的な IT 化の手法についてサービス提供機関に理解を求めるべく活動する。
(3)無形商品の価値についてサービス提供機関に理解を求めるべく活動する。
3)標準化の推進
技術面のみならず医学的、社会科学的な面も含めた標準化を推進するため、学識経験者の支援を得つ つ、関連団体と密接に協力しながら以下の活動を行う。
(1)HE L IC S 標準提案を前提としたJ A HIS 標準制定とその普及推進
(2)用語・マスタ等の制定への積極的参画とその普及推進
(3)IHE - J等、標準化技術の実証事業への積極的参画
(4)ISO/ T C 215、HL7等国際標準制定への積極的参画
4 . 分野別年度計画
4−1戦略企画関連事項 1)方針
医療サービス分野の情報化は、「保健医療福祉分野の情報化に向けてのグランドデザイン」が軸となること は明らかである。しかし、「グランドデザイン」では費用負担の問題は明らかにされていない。
産業界としては、医療サービス分野の市場創造・市場拡大を図る上でこの課題を解決することが最も重要 であり、この機会に医療サービス全体で得られる IT 活用の成果をIT化へ再配分することについて社会的合 意を獲得しなければならない。
また、「グランドデザイン」は、IT の活用によってわが国の医療サービス全体の質と効率の向上を実現しよう とするものであり、当然、行政活動の IT 化対応も大きな要素であることが明らかになるであろう。このことによ って、疑義解釈を必要とする診療報酬請求制度、短期間の決定・施行期間、レセプト電算処理における書類 併用などの、永年の懸案の改善にもまたとない機会である。
さらに、J A HIS の対象分野のユーザである医療機関は医療関連の専門職で構成されていることもあって、 他の産業界に比べ IT 化の手法に対する理解は十分と言えない状況にある。また、一般産業界ではソフトウ ェアやサービスなど無形商品はますます重要なものと認識され、その価値についても適正な評価を受ける状 況となりつつあるが、医療の分野では未だそのような状況にない。このような状況についてもユーザの理解を 深め事業環境の改善を図らなければならない。
これらの改善は、単に医療サービスの市場創造・市場拡大のみならず、今後さらに発展が期待される保健 福祉分野のIT 活用の基本的な考え方として定着させることとなり、事業環境の改善に大きく貢献するもので ある。
このような認識のもとに、以下の方針で活動を行う。
(1)学識経験者と協調し、「グランドデザイン」は行政活動も含 めた医療サービス全体の事業構造改革であり、 得られる質の向上と経済効果から医療機関へ IT 費用を再配分すべきであるとの理論構築を行う。
(2)効果的な IT 化の手法について行政及び医療機関に理解を求めるべく活動する。
(3)ソフトウェアやサービスなど無形商品の価値について医療機関に理解を求めるべく活動する。
(4)これらについて広報活動を積極的に展開して国民の理解を図る。
2)事業計画
課題 目標 方法 H15 H16 H17
1
市場拡大のため の財源確保
グランドデザイン実 現の財源確保につ いての社会的合意 の獲得
1.主張
グランドデザインは医療 サービス体制の事業構造 改革であり、得られる質の 向上、経済効果からIT 財 源を再配分する。 2.方法
①経済効果の調査研究
②ユーザ団体との連携
③広報活動の強化
④行政の理解獲得
①妥当性の評価
②調査研究体制の整備
③広報体制の整備
④行政との協議
①調査研究の拡大
②研究結果の広報
③行政との協議
①調査研究の拡大
②研究結果の広報
③行政との協議
2
行政の情報化対 応の促進
行政活動はIT 活用 を前提とすべきとの 行政側の合意の獲 得
①IT 化阻害要因の具体 的整理
②IT 化推進行政担当へ の改善要請
③担当部門への改善提
①IT 化阻害要因の具体的 整理
②IT 化推進行政担当への 改善要請
③担当部門への改善提言
①IT 化阻害要因の具体的 整理
②IT 化推進行政担当への 改善要請
③担当部門への改善提言
①IT 化阻害要因の具体的 整理
②IT 化推進行政担当への 改善要請
③担当部門への改善提言 3
IT 化手法の理解 促進
行政およびユーザの 理解獲得
①パンフレットの作成
②広報の実施
③展示会での広報
①パンフレットの作成
②広報の実施
③展示会での広報
①広報の実施
②展示会での広報
①広報の実施
②展示会での広報
4
無形商品の有償 化理解促進
行政およびユーザの 理解獲得
①パンフレットの作成
②広報の実施
③展示会での広報
①パンフレットの作成
②広報の実施
③展示会での広報
①広報の実施
②展示会での広報
①広報の実施
②展示会での広報
4−2医事コンピュータ関連事項 1)方針
保健医療分野での情報化に向けた活動指針は、「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン(厚 生労働省発表)」、で明確に目標設定された。この目標に向かって、医・官・学・産 が具体的に普及推進を図っ ていかなければならないが、これを推進する上での課題も多い。医事コンピュータ部会の役割りのはこの目標 達成に向けた普及推進活動とそれを推進する為の具体的課題解決活動が最重点テーマである。この重点テ ーマを推進する上での具体的推進内容とその課題の概要を下記のとおり考える。
(1)保健医療情報の標準化とマスタの整備
保健医療情報の標準化を推進していく上で最も重要なのがマスタの標準化とその普及推進である。 傷病名マスタについては、従来から懸案であったが、M EDIS−DCの標準マスタ(Ver2.1)により標準化 が図られた。また、平成14年6月には上記標準マスタと整合性のとれた基本マスタがリリースされた。今後こ れを医事コンピュータへ実装する為の課題の整理と普及推進活動、及び傷病名マスタのさらなる改良に向 けた提言を行う。
一方、診療報酬請求上の標準はレセプト電算処理システムの基本マスタであるが、診療行為における診 療報酬請求の標準化を推進するに は必ずしも十分とは言えない。それを補う目的で開発されたのがJAHIS 標準マスタである。診療報酬改定時の対応をより確実にする上でもこのマスタの維持管理と普及推進を図っ ていかなければならないが、同時に権威ある推進母体の確立に向けた活動を推進する。
また、電子カルテとの連携のための各種用語/コードの標準化活動も今後の重要テーマである。本来マ スタとは1つの対象に対して 1 つのコードだけですむ場合よりも、むしろ目的により複数の標準が必要となる 場合が多い。しかし、この様な場合であっても、それぞれの標準の間に整合性が取られ 、それぞれの関係が 明らかになっていることが重要である。診療報酬請求だけを捉えればレセプト電算処理システムの基本マス タがその標準であるのは前述の通りであるが、これは日常の診療現場では標準となり難い。日常の診療と診 療報酬請求は、それぞれ目的が異なっている為、全く同一の標準を適用することはかえって非効率である。 しかし、これらの対応づけを明らかにすることで、お互いがそれぞれの立場で標準となり得るし、保健医療の 情報化における電子カルテとレセプト電算処理システムという 2 大テーマを普及推進する上でも、この標準 化活動を積極的に推進する。
尚、急性期入院医療の定額払い方式に向けての医事システムのマスタについても継続的な調査研究と関 連団体への意見具申も行う。
(2)標準化推進のための基盤の整備
近年、保健医療情報システムの一翼を担う医事会計システムと電子カルテシステム等との連携において、 データ交換等の標準化の必要性が増してきた。この連携のあり方やマスタも含めた標準化についても医事コ ンピュータ側から見た整理を行っていく。
(3)レセプト電算処理システムの普及・推進活動と課題解決に向けた活動
現在、普及推進の為の説明会を審査支払機関及び医師会、薬剤師会と共同で推進しており、『普及推 進』と言う意味では効果が出ている。しかし、一方ではグランドデザインで掲げている数字目標まで達成する ためには、請求から審査支払機関、そして保険者までの一貫した電子化の推進、また、それに伴う法整備の 対応、診療報酬請求方法が異なる自治体の保険制度の整備等が必要になってくる。これらに対する意見具 申と具体的対応等、システム提供者としての積極的な活動を推進する。
尚、これらの活動にあたっては、行政、審査支払機関、三師会等との密接な連携を図り推進する。
(4)診療報酬改定等についての課題と対応
医事コンピュータシステムの提供者においては、診療報酬改定の情報入手可能な時期から施行までの時 間が余りにも短く、短期間に作業が集中し、かつ、疑義事項が解決しないまま改定ソフトやそれに対応した マスタの提供を余儀なくされているのが現状である。ベンダ側やそれをサポートする代理店、また病院担当
のSE等にとっては、改定対応期間中はすべてを犠牲にし就労を余儀なくされており、健康管理面、人事管 理面でも問題となっている。この事が結果的にユーザである医療機関に多大なご迷惑をおかけすることにも なりかねない。「保健医療分野におけるIT改 革 」の立場からの診療報酬改定対応等に解決策を強く求めて 行く。
(5)会員サービスの向上
医事コンピュータ部会の特徴である、診療報酬請求時の疑義事項や診療報酬改定時の情報提供 等、従 来に増して高度化・迅速化・多様化への対応が要求されている。これに対応すべく一部の専門業務につい てのアウトソーシング化等を行うことにより質の向上を図り、さらなる会員サービスの向上を目指す。
2 ) 事業計画
スケジュール
取組テーマ 共通課題 医事コン取組み項目 目 標 取組み内容・方法
15年度 16年度 17年度
新傷病名マスタのレセコンへの 実装推進と意見具申
平 成 15年 5 月を目途に各ベンダが 実装すべく推 進 す る
(レセ電算対応システム)
また、新傷病名マスタ充実に向けて の課題点の整理と意見具申
マスタ委員会・電子レセプト WG を中心に、実 装 の 為 の 課 題 の 整 理 と 実 装 に 向 け た 推 進 活 動を行う
また、実装後の運用における課題を整理し取 り纏め、関連団体に対して意見具申する
実装における課題の整理 各ベンダの実装計画 の す り合 わ せ。
運用しての課題の整理 取 り纏 め 。 必 要 に お い て 関 係機関へ意見具申
運用しての課題の整理 取 り纏 め 。 必 要 に お い て 関 係機関へ意見具申
J A HIS 標準マスタ(診療行為) の普及
平 成 17年度・J A HIS 会 員 40社での 活用
平 成 14年 度 事 業 化 後 、標準マスタ会員の評 価をまとめ、改良を行いながら、普及に向けた 啓蒙活動を実施する
課 題 の 整 理 及 び 改 良 内 容 を 決 定し改良作業に着手
定期改版
普及に向けた啓蒙活動 法改定への対応
普及に向けた啓蒙活動 定期改版
医薬品マスタ、変換テーブル、 な ら び に 標 準 マスタ(診療行 為)の 継 続 的 保 守 運 用 体 制 の 検討
・ 安 定 し た 維 持 管 理 な ら び に 医 療 費改定時のメンテナンス体制の確立
・公的マスタとしての位置づけを関係 機関に働きかける
・保 守 運 用 の 為 の 体 制 作 りと効率的運用の検 討実施
・マ ス タ 、メ ン テ ナ ン ス ツ ー ル に つ い て 支 払 基 金 等 へ の提言を図る
維持管理作業ならびに改定作業 時の課題の抽出と整理 体制整備。改善作業の実施 課題の再整理
体制整備。改善作業の実施 課題の再整理
支払基金へ提言
体制整備。改善作業の実施 課題の再整理
支払基金へ提言の継続
電子レセプト・電子カルテ用語
/コードの標準化活動。手術 処置、検査、薬品、材料等
基本マスタと対応付けを完了 ME DIS−D C 等と連携した項目整理 基本マスタをベースにした対応付けの支援
用 語 ・コ ー ド標 準 化 体 制 整 備 な ら びに標準化項目の整理
(ME DIS − DC 、J A HIS 部 会 間 と の連携強化)
各 マ ス タ と基本マ ス タ との対応 付け・検 証 作 業
普及に向けた啓蒙活動 改善提案
マスタの標準化整備 と普及活動
急性期入院包括医療に関わる マスタの検討
平成 16 年 4 月までに公的マスタとし て公開
公的マスタとして位置付けられる様関連団体 への支援を行い、リリース後は普及の為の課 題の整 理 と意見具申を行う。
包括マスタのあり方の検討 支払基金等との協議
包括マスタの説明会実施 改良点の検討、提言
運用しての課題の整理 必要により関係機関へ意見 具申
メッセージ交換仕様の調査研 究(医事システムの範囲)
被保険者証のカード化等に伴う連 携 及 び 院 外 処 方 箋 等 の 電 子 化 に 向 け た標準化等の策定
各種実証実験のとりまとめを行い、今後の技 術動向を鑑みた標準仕様の策定を検討
被 保 険 者 証 の カ ー ド 化 等 に 伴 う 連携の標準化策定
院 外 処 方 箋 等 の 電 子 化 に 向けた標準化の検討
普及推進の為の活動 標準化を中心とする共
通 基 盤 の 確 立 の た め の課題
医 療 に お け る 標 準 化推進
海外標準化動向の調査 標準化推進に活用できる適用情報の 収集と分析
米国HIPAA、海外DRG導入状況の調査団 派遣
状況の取り纏めと共有化(文書化・報告会)
米国HIPAAへの調査団派遣 調査報告書、報告会
海外DRG導入状況の調査 団派遣
調査報告書、報告会
米国HIPAAへの調査団派 遣
調査報告書、報告会 推進活動の展開(医科・調剤) 全都道府県に対しての説明会を完了
する。
普及推進ツールの充実
計画的な説明会への参画 導入時マ ニ ュ ア ル の改版と充 実 フ ゚ロ モ ー シ ョン ビテ ゙オ の改版と充 実
説明会の組織的な計画立案 調剤システムの導入マ ニ ュア ル とフ ゚ロ モ ー シ ョン ビテ ゙オ 等の作成
導入時マ ニ ュ ア ル の改版と充 実 フ ゚ロ モ ー シ ョン ビテ ゙オ の改版と充 実(医科・調剤)
新規参入等の活性化推進
国 の 公 費 と自 治 体 公 費 制 度 と の整合に向けた取り組み
自治体公費制度に対応できる記録条 件仕様の確立
記録条件仕様の拡張に向けた提言活動 現状の整理と改善案の策定 改善に向けた活動
改 善 に 向 け た 活 動 と記 録 条 件仕様の確定
実運用での実証
課題の再整理とその改善 他制度への拡大
歯科レセプト電算処理システム 推進に向けた活動
システム仕様案検討(検 討 会 へ の 参 画)
立上げと推進
マスタの整備支援
レセプト様式・記録条件仕様の確定支援 開発ベンダ向け勉強会の実施
マスタの整備支援 記録条件仕様の確定支援 導入に向けた調整 ベンダへの勉強会の実施
普及推進活動 レセ電算処理システ
ムの普及推進
審 査 支 払 機 関 等 とのオンライ ン接続実験への取組み
本格導入に向けた技術的検討 実験状況の把握
実運用に向けた技術的課題の整理と支援
実験状況の把握 実運用に向けた技術的課題
の整理と支援
本格的体制に向けた支援
電 子 カ ル テ の 普 及 推進
メッセージ交換仕様の実装に 向けての調査研究
基盤整備の為の標準化の策定 各委員会の横断的(W G の設立等)な検討。 現状の整理と標準化化の検討
患 者 基 本 情 報 の 交 換 規 約 の 策 定
処 方 情 報 の 交 換 規 約 の 策 定
診 療 行 為 情 報 の 交 換 規 約 の策定
事業環境の改善と市場 拡大のための課題
診 療 報 酬 制 度 とIT 化推進に伴う改善
「保健医療のIT改革」(電 子 カ ルテ、電子レセプト)の 立 場 か ら診療報酬改定対応と環境改 善
定例的な具体的意見具申のできる場 の設立に向けた働きかけ
厚生労働省及び ME DIS- DC等 との意見交換 の定例化に向けた仕 組 み 作 りの提言
定 期 的 に 意 見 交 換 で き る 場 の 設立に向けた提言(事例を整理 し、具体的課題と解決に向けた 提案)
関連機関との協議会等の設 立
平成16年4月改定での課題 整理と改善に向けた活動
平 成 18年 4月改定に向けた 新組織の設立
会員サービス 会員への情報提供 会員サービスの向上と迅速化 安定した情報提供体制の確立 提供情報の必要性・提供方法の再整理。事 務 局の明確化とアウトソーシング先のパイプ作 り、及び対応内容・方法の明確化
提供情報の整理 事務局作業明確化
ア ウ トソ ー シ ン ク ゙先との概要決定
平成16年4月改定時の課題 整理とその改善
平 成 18年 4月改定に向けた 改善施策の実施
4−3標準化・医療システム関連事項 1)背景
ISO/ T C 215( 医療情報)が活動を開始して以来4年が経過し、ベッドサイドモニター機器のインタフェ ース標準や保健医療分野の PK I(Public K ey Infrastructure、公開鍵基盤)の利用ガイドなど国際標準も 開発されつつある。ISO/ T C 215 の狙いは、人々が国境を越えて移動する国際化の時代を背景に、患者 の診療情報などを、国境を越えて共有する仕組みを整備するところにある。医療制度は、従来各国の文 化を反映したものであり国ごとに異なるものであった。ISO では、医療制度に関わる仕様については標 準を開発しないとしているが、診療録や処方箋の交換に関する議論に至っては医療制度の外延にあっ て制度に関わるものとなっている。そのため、工業会としても行政や関連する機関と連携して、国益に反 するものに関してはその成立を阻止、あるいは成立を遅らせる戦術を取る必要があり、その一方で国際 社会の一員として、標準の成立に貢献が求められてもいる。
H L 7 も、国際支部が次々にでき国際化の地歩と築きつつある。ま た、ISO 化に向けた動きも加速しよう としている。グローバル化が進む今日、医療情報も国境を越えて飛び交う時代がすぐそこまで来ている と言えよう。
これまで我が国の医療は規制に守られてきた。医療費が高騰し少子高齢化が進む今日、医療の聖 域視は不可能になりつつあり、行政もより効率的で効果的な医療の提供体制構築へとシフトせざるを得 なくなっている。このことは世界の、より効率的でコスト対性能比のよいシステムへと目を向かせることとな り、日本国民としても医療情報の公開から始まって、より開かれた医療へと進ませる期待を大きくすること になるだろう。すなわち、日本の医療情報システムも国際連携ができるものへと変質を迫られることにな るものと思われる。工業会としてもこれを可能とするシステム構築の基礎となる国際標準へのより敏感な 対応が必要となるのである。
一方、国内に目を向けても昨年厚生労働省から医療の IT 化を目指したグランドデザインが発表され、 5年後の平成18年に400床以上の病院および診療所の60%に電子カルテが導入されることが目標と されている。この目標を達成するに当たり、医療システムのコストが阻害要因として上げられている。その ため産業界にあっては適切な競争の下に、よりよいシステムをより低価格で提供するために H L 7 や DIC OM など標準規格をベースとしたシステム構築が求められている。標準規格はコスト低減ための施 策のすべてではないが、優秀な SE に限りがある今日、またシステム仕様を自ら掲げることが困難な医療 機関が多いわが国にあっては、情報交換など医療業務システムの本質に関わらない部分に関してはで きるだけ手間を掛けないために標準の採用は必須と考えられている。
2)方針
(1)医療情報の国際標準化活動への参画
このような状況を背景に、J AHIS は ISO/ T C 215 や HL 7 活動に積極的に参加し、議論を先取りして 国内のシステム状況の整備を進め、わが国の医療状況に合致した標準開発への貢献を行い、また場 合によってはわが国にとって不都合な標準化についてはこれを阻止するなどの戦術を、国内外の機 関と連携して行ってゆく。この中期計画にあっては、行政機関や関連する学会と連携しならが、工業 会として、また国家としての利益を勘案しつつ、会員内外から優秀な人材を募り戦略的に対応を進め
カルテ構築が急がれることになろう。そこで、これを可能とするため電子カルテ・システム業務モデル 構築にも注力する。モデルはユーザと J AHIS 会員であるベンダとのコミュニケーションのツールとして も必要である。
また、標準は開発することが終着駅ではない。実際に利用される仕様であるべきである。そこで、 IHE - J の活動を通じた標準の促進普及や啓蒙活動にも注力する。さらにユーザとも連携して標準に 基づくシステム構築を進める基盤整備も進めて行く。
(3)医療システムの安全で効果的な運用への IT 活用
医療経営に IT の活用が期待されている。一方で IT の活用は情報の安全な利用に関して 感心と危 惧を患者、医療関係者にもたらしてもいる。J A HIS は ISO/ T C 215 や HL 7 のセキュリティ関連の議論を 参照しながら医療情報システムのセキュリティ施策の検討を進めて行く。
一方、医療過誤は医療機関において対応策が検討され対応が始まっているが、IT の活用に関し ては十分には検討されていない。ユーザと連携して医療過誤に対する IT の寄与を検討する。さらに 物流や病院経営支援など医業経営者への適切な情報提供可能なシステムの構築につながるフレー ムワークの開発、また医療システムのリモート保守のためのセキュリティガイドラインの開発などを行い、 事業環境の改善と市場拡大につなげて行きたい。
(4)臨床ユーザとの交流促進
医療は多くの専門領域に細分されているサービス分野である。そのため医療の核心にシステムが 触れるほど、情報システムも医療の専門性の要求に応えるものであることが求められるであろう。 IHE - J などシステムの仕様の議論を医療側と工業界側とが協力して行う場も醸成されつつあるが、一 部にはまだ対等に議論をすることが困難な状況も見受けられ る。
J A HIS は個々の会員が遭遇するこのような状況を、特に臨床医療従事者を対象とした医療情報シ ステムに関する啓蒙活動や電子カルテなど医療の質に関わるシステム仕様の共同研究などを通して、 改善して行く。また、医療情報システムは医療制度とも密接に関係しているので、J A HIS は日本の医 療システムの将来像を行政や医療界と連携しながら描いて行く。
3)事業計画
スケジュール 標準化・医療システム
関連課題
取組みテーマ 目標 施策
平成15年度 平成16年度 平成17年度 ISO/ T C 215 および HL 7 を中
心とする国際標準化へ対応
• 国際標準化戦略を策定する
• 戦略に基づく国際標準化活動への参画 Ø 日本発の標準の発信
Ø 国際標準への円滑な適応
Ø ISO/ T C215 WG1,2 国内作業部会事務 局
• 国内標準化活動との連携
• 日本 HL 7 協会の活動支援と有効利用 Ø HL7J 事務局
Ø HL7,Inc.との連携
• 戦略策定
• 国益、業界益
• 分野の絞込
• 活動方針、戦術
• 作業部会事務局、運営
• 国際標準化参画と会員 へのフィードバック
• 国内標準化活動との連 携
• HL 7J 事 務 局 、活 動 支 援
• 戦術検討
• 作業部会事務局、運営
• 日 本 発 標 準 の 国 際 標 準化への寄与
• 国内標準化活動との連 携
• HL 7J 事 務 局 、活 動 支 援
• 同左
J A HIS 標準化活動の活性化 • 明確な目標設定と目標達成戦略策定
• 電子カルテ、地 域 連 携 、生涯健康管理シ ステム展開を目指した標準化戦略、戦術
• HE L IC S への J A HIS 標準の提案
• 標準化活動推進者の発掘と勧誘
• 標準普及施策策定
• 国際標準化活動との連携
• 医事コンピュータ/ 保健福祉システム分野との 連携
• 電 子 カ ル テ の 普 及 施 策
• 標準化マップへの 反映と活用
• HE L IC S 運営支援
• J A HIS 標準化白書と活 動の啓蒙
• 国 際 標 準 へ の 提 案 を 国際標準化と連携し展 開
• 地域連携システムの普 及施策
• 標準化マップの活 用
• HE L IC S 運営支援
• 生涯健康管理システム の体系化
• 体系図を文書化
• HE L IC S 運営支援
• 日本発地域連携アプリ の国際展開
標準化の推進
電子カルテシステム業務モデ ル開発
• 標準的電子カルテシステム業務モデルの開発
• 電子カルテの定義
• 電子カルテシステム業 務モデル V 1.0
• 電 子 カ ル テ 定 義 の 改 訂
• 電子カルテシステム業 務モデルの実証・普及
• 電子カルテ定義の普及
• 電子カルテシステム業 務モデル V 2..0
IHE - J 活動を利用した部門間 連携標準利用ガイドライン整 備
• IHE - J活動への参画 Ø IHE- 国際との連携
Ø ガイドライン(IHE テクニカルフレームワー ク)策定
• デモへの参加
• ガイドライン開発 Ø 画像部門
• デモ参加
• ガイドライン開発 Ø 臨床検査部門 Ø 生体検査部門
• 他部門展開 標準化の推進と普及
J A HIS 標準の普及促進
標準利用ガイドラインの営業 ツール化
• J A HIS 標準の啓蒙と利用ガイドラインの開発
• IHE - J成果の啓蒙
• IHE - Jガイドラインの営業ツール化
• ガイドライン化計画立 案
• IHEの会員への普及
• 標 準 に 基 づ くシステム 構築啓蒙
• 標準利用ガイドライン の営業ツール化
• 営業ツールの充実と普 及
医療過誤への対応 医療過誤に対する IT の寄与 分野の明確化
• J A HIS の会員の経験を調査
• 医療関係者とのインタビュー
• 組織化
• 調査方法、調査対象を •
医療関係者との連携 • まとめ 医療システムの IT化
推進
4−4保健福祉システム関連事項 1)背景
医療保険制度が破綻に瀕しており、入院期間の短縮、老人医療優遇の是正など医療保険における 処遇は圧縮が避けられない。このような環境のもとに健康維持増進活動の奨励、医療より低コストで 実施できる介護での処遇推進などの幅広い対応が進められている。
また、医療保険の範囲でも、処遇の質を確保しつつコストを低減するための「医療機関の機能分化」
「医療機関間連携」が厚生労働省主導のもとに進められている。
このような環境においてコストの高騰を防ぎつつ保健・医療・福祉サービスの質を確保するには、施 設間における連携に情報システムを有効に活用する必要がある。これを実現するには、関係者による システム概念の合意、システム導入・利用に関する社会的合意の形成、利用技術や用語・コードの標 準化など多くの課題がある。
2)方針
上記のような課題を解決しつつ、保健・地域医療・福祉システムに集中して情報システム市場を拡 大するために、平成14年6月に保健福祉システム部会が設置された。この措置を利用して、従来以 上に当分野に注力することとし、下記のような活動を行う。
(1)地域包括ケアの拡充支援
①生涯健康情報管理の概念普及
個人にかかわる保健・医療・福祉データが本人のものであるという観点から、多様な施設で保存さ れている個人の健康情報を当人の健康のために活用できる仕組み作りが必要である。これが実現 すれば、保健医療福祉サービスの効率化が進むと共に、その仕組みを支える情報システムに対す る需要が喚起される。しかし、縦割り制度の弊害や施設従事者の理解不足のためにその実現には 幾多の課題があるので、社会的仕組み作りの必要性とその具体策を検討し、生涯健康情報管理シ ステムへの理解を普及させるための運動を行う。
②地域ケア連携
上記生涯健康情報管理システムのプリミティブな形として、具体的なユースケースを満足する地 域包括ケア連携システムを実現していく必要がある。すでに経済産業省=MEDIS―DCの事業な どで事例は出ているので、標準的なシステムの概念設計を通じて今後の導入のガイド作りと技術の 標準化を進める。
診療情報、介護情報、健診・健康管理情報などの健康記録は、まず本人の健康のために大いに 有効に利用されるべきであるが、現状では制度や施設が異なる場合の相互利用には大きな制約が ある。そこで、技術的には健康記録が、制度を横断する共通アーキテクチャに基づき、業務連携を 支援する電子健康記録に発展することを推進する。この技術的な方向付けの中で、まず地域医療 連携を中心にした地域包括ケア連携のシステム化を目指して概念設計、標準化、実証実験を推進 する。
さらに、上記の改善と相俟って、社会的には情報連携のために電子カルテシステムを初めとする 健康記録システムの導入が促進される状況を誘導するよう厚生労働省に働きかける。また、このよう な状況を経済面から誘導するために、標準様式による電子診療情報をつけて患者の紹介を行った 場合の「診療情報提供料」の加算を実現するなど、経済誘導のメカニズムを制度に組み込むよう働 きかけを行う。
③健診データ交換
健診データの活用は、地域包括ケアの重要な要素であり、個人の希望に応じて本人の健康デ
ータが発生場所(施設)以外で利用できることが必要である。これまでに実績のあるHDMLを自治 体間のデータ交換に活用するなどの普及を通じて健診データの有効活用に貢献していく。
④健保システム
健保財政の悪化に伴い、保険者による医療費効率化の動きが始まっている。まだ十分な事例が ないが、今後のパイオニアとなる先進的健保との協力を進め、健保システムの概念設計、技術の標 準化を進める。
(2)健康支援システム
医療費の増大等の背景から健康保持増進活動支援への社会的にニーズが拡大しつつある。在宅 健康支援サービスは保健センター等の自治体機関だけでなく、民間でもパイオニアによる市場開拓 は実施済みである。技術面では、モバイル技術とセンサー技術の円熟により市場ニーズへの対応は 充分可能となってきた。このような見地から経済産業省では新産業の起爆剤とすべくホーム ヘルス ケア プロジェクトを検討している。J A HIS はこのプロジェクトに参画し、サービス システムの実証実験 において標準化、システム技術の適用等の面で主導的な役割を果たすよう力を結集する。
J A HIS は6年にわたって在宅ケア支援システムの普及に努めてきたが、今後は経済産業省、厚生 労働省と連携して実証実験を行いつつ、概念設計、標準化を通じた普及に努める。また、市場の急 速な立ち上げを目指して自治体市場および民間サービス市場拡大に至る社会的な合意を形成すべ く提案活動を活発化する。
(3)福祉
①介護保険
介護保険制度の運用が軌道に乗りつつあるが、介護データ交換の標準化の遅れから介護関係 文書の転記が多数発生し、業務の効率向上を妨げている。数年来行ってきた介護データ交換規 約の標準化と普及を推進することによりユーザの作業効率向上と市場の拡大を進める。
②障害者支援費制度
障害者支援費制度が平成15年4月から運用される。制度運用を支援するシステムの概念設計 や標準化には従来から注力してきた。今後とも業務支援のための情報システムに関係する制度改 定などへの対応を行う。
(4)他の社会保険
社会保険においては個人認証のために手帳などの認証手段を用いているが、これをICカード利用 の媒体にすることによって多くのメリットが期待できる。医療保険、介護保険についてはすでに J A HIS 内に検討体制があるが、年金、雇用保険等についてはないので、検討体制を立ち上げ、ICカードシ ステム普及を目指す。
(5)新テーマの開拓
保健・地域医療・福祉分野の中あるいは近傍で新たなテーマを開拓し、J A HIS の事業として相応し い項目を選択し検討体制を立ち上げる。
3)事業計画
課題(小項目) 目 標 方 法 H 1 5 H 1 6 H 1 7 生涯健康情報管
理
保健・医療・福祉にまたがっ て個人の健康情報を必要に 応じて検索できる仕組みの 提案
先進地域見学
ワーキンググループ活動 厚生労働省への提案
モデルV−1開発
モデルのPR 標準化項目抽出
標準化項目PR 標準化フェーズ1
地域ケア連携
地域ケア連携システムの概 念設計、標準化、普及およ び制度面の施策推進
プロジェクトによる推進 ワーキンググループ活動 厚生労働省への提案
作業項目作りと体 制作り
標準化および厚生 労働省への提案 フェーズ1
標準化および厚生 労働省への提案 フェーズ2 健診データ交換
健診データ交換のJAHIS 標準、変換ツール普及
ワーキンググループ活動 健診医学会との連携
HELICS標準 説明会
普及推進 普及推進
健保システム 健保システムの概念設計 ワーキンググループ活動 実態調査 モデルV−1開発 モデルV−2開発
健康支援
ホームヘルスケアシステム 概念設計、標準化、実証、
プロジェクト活動(経済産業 省事業に参画)、経済産業 省への提案
経済産業省のプロ ジェクト1年目、実 施方法の提案
経済産業省プロェ クト2年目、実証方 法・標準化提案
経産省プロジェクト 3年目、実証・課題 整理・提案
介護データ交換
介護データ交換規約のJA HIS標準化、普及
経済産業省、厚生労働省と の連携、普及活動
規約のJAHIS標 準
化、厚生労働省他 へのPR
JAHIS標準普及 推進
同左
社会保険ICカード
(雇用、年金ほか)
システム革新提案 ワーキンググループ活動
調査検討と提案書 作成
予算化活動 プロジェクト準備
4−5事業推進関連事項 1)方針
J A HIS の更なる認知度向上を図り、その活動成果により公的使命を果たしていくために、
(1)活動をより一層活性化し、その成果を広く積極的に開示(情報発信)することにより、行政、顧客業界団体等の理解促進を図る。
(2)展博への出展、講演会・セミナーの開催等 J A HIS 組織外との接触機会の多様化を推進することにより広報機能の充実を図る。
(3)新たな収益事業を企画推進することにより、上記の活動基盤となる財源を確保すると共に J A HIS の財政改善に貢献する。 2)事業計画
取組みテーマ 共通課題 取組み項目 取組み内容・方法 15年度 16年度 17年度 既存展博対応の手順
化と収益確保
既 存 展 博 の 収 益 拡大
展博等の規模の拡大とコスト削 減により、収益増大を図るため の対応手順のルーチン化を確 立する
施策の実施 拡大 定着化
有料として相応しい講 演会の確立と業界認 知度の向上
J A HIS 編集出版物の 認知度定着と販売方 法の確立
講演会、出版物等 における新規事業 企画
標準化等 J A HIS 活動で蓄積し た知的財産を活用した講演会、 出版等を企画し、成果の普及と 収 益 事 業 の 双 方 に 相 乗 効 果 を もたらす仕組みを確立する
基 盤 づ くり(内 部 体制と会員間調 整)
試行実施
事業性検証 拡大方法の検討
拡大 定着化 J A HIS 活動の基盤
となり得る収益事 業の企画推進
5 . 組織運営計画
5−1 運営方針
J A HIS は会員からの会費の拠出を基盤として運営されており、会員各位が置かれている厳しい事業環境 を勘案すれば、会員が期待する成果を上げるとともに、透明性を高めて会員の理解のもとに運営すること がますます求められよう。
また、J A H IS は設立以来、会員とのコミュニケーションを重視しその充実に務めてきたが、現状では、会 員の連絡窓口担当者と各部門の登録委員とのコミュニケーションにとどまっており、会員の保有する英知 を集約し、J A HIS の成果を広く伝達するためには十分とは言えない状況にある。
さらに、保健医療福祉システム領域には多くの事業者が参入しているが、標準化を推進してユーザの利 便性を高め、また、業界のカバー率を高めて J A H IS 活動を活性化するために、これらの事業者の J A HIS への参加を求めることが重要である。
永続的な運営の基本は健全な財政運営にあるが、J A HIS 活動の拡大に伴い、平成13年度は J A HIS 設 立以来で初めての当期収支赤字の決算となった。活動の必要性から平 成14年度予算も当期収支赤字の 予算編成を余儀なくされているが、年度収支バランスのとれた財政運営としなければ永続的な運営は困難 であり改善が必要である。
J A HIS は設立時から法人化を念頭に置いてはきたが、任意団体として特に不都合なく運営されている。 しかし、社会的な信頼度を一層向上させる上では、法人化することが望ましい。このため、現在公布され ている中間法人法に基づく有限責任中間法人への可能性を検討してきた。しかし、中間法人法は、個人 の集まりに対する、特定非営利活動法人等の創設を強く意識した法律で、J A HIS のように既に設立され運 営されている工業会が移行する場合には、課題も多く適応が難しい状況にある。一 方 現 在 、公益法人を 新たに見直す新法の検討が進んでいる。今後これらの動向を調査し、検討して行くこととしたい。
このような認識のもとに、以下の方針で組織運営を行う。
(1)運営の根拠となる規程・規則の整備し、保有する情報は会員の共有財産として開示することを基本と する、開かれた運営を推進し会員の理解を深める。
(2)会員に所属する従業員の内、J A HIS 活動に興味を持つ全ての人々との直接的なコミュニケーションを 可能とする ITの整備を推進する。また、これを活用して、エンドユーザおよび有識者とも同様のネット ワークを整備し、J A HIS の影響力拡大を図る。
(3)新規参入事業者の入会促進を図る。
(4)新規会員の加入促進による会費収入増と収益事業の創造・拡大を推進するとともに、固定経費の削 減を行って、年度収支バランスの改善を図る。
(5)法人関連法規の整備推進状況を監視し、法人化の調査研究を継続する。
5 −2 事業計画
課題(大項目) 課題(小項目) 目標 方法 H15 H16 H17 会員の理解促進 ①規程類の100%会
員公開
②ホームページア クセス数の倍増
①内規類の改定、非 文書化慣行の規程化
②ホームページによる 情報公開推進
③IT体制の強化
①内規類の改定、非 文書化慣行の規程化
②ホームページによる 情報公開推進
③IT体制の専任化
運用の定着 運用の定着
本会に興味を持つ 全ての人々とのネッ トワークの整備
①会員アドレス数 4, 000人
(現委員登録数約 1, 400人)
②非会員アドレス 数500人
①登録・管理システム の構築
②ML、掲示板の構 築
会員用システムの構 築
非会員用システムの 構築
運用の定着
非会員の入会促進 現会員+40社 ①展示会、マスメディ アでの非会員情報の 収集
②入会勧誘
①展示会、マスメディ アでの非会員情報の 収集
②入会勧誘
③会員増20社
①継続
②会員増10社
①継続
②会員増10社
財政
年度収支の改善 事業拡大による支 出増を吸収の上、 年度収支差額0の 予算編成
①会員増による収入 増
②収益事業拡大によ る収益増
収支差額- 1, 530万で 予算編成
収支差額を- 700万で 予算編成
収支差額を0以上で 予算編成
会員
6 . 予算計画
6−1費用構造の推移
***数値データは事務局にお問い合せ下さい*** 各年度の費用構造を比較可能とするため、以下のとおり計算した。
① H14予算は新組織への組み替え前の予算とした。
② 収益事業および重点事業に関わる経費は、部会経費・事務局費から除いた。
③ 医事コン自主事業の収益は、専任事務局員経費、技術業務委託費、外注費を原価として計上した。
④ 収益事業として計画していない事業の収入は雑収入とし、費用は各部会経費に計上した。
⑤ 部会経費から支出している重点事業への支出は重点事業に計上した。
⑥ H11∼H13の医事コン部会管理費の内、事 務局員経費は事務局費に計上した。
6−2中期予算計画
***数値データは事務局にお問い合せ下さい*** 予算計画の考え方は以下の通りである。
① 当期繰越収支差額を急激に改善することは困難であるため、H17年度で0とすることとした。
② 会費収入は、H17年度までに40社の入会増を計画しているが、会員ランク変更の可能性もあり、予算 としてはF会員20社増相当を見込むこととした。
③ 受託事業収益は、最近の動向を勘案し増加を見込むこととした。
④ 医事コン自主事業収益は、一層の効率向上を見込むこととした。
⑤ 事業推進自主事業収益は、従来の展博事業の強化とともに、積極的な事業拡大を見込むこととした。
⑥ 各部門の運営経費は、現状の予算規模で効率化を図り、機能強化拡大を吸収することとした。
⑦ 重点事業のIT成果再配分推進は市場拡大の基盤整備を目的として新に投入することとした。
⑧ 総務会運営のH16年度予算に創立10周年事業費を見込むこととした。
⑨ 重点事業のレセ電算推進強化はさらに推進を促進するため積極的に投入することとした。
⑩ 重点事業の電子カルテモデル研究は、従来成果を基に、エンタプライズモデルの実用レベルへの 拡充・改善、RIM準拠インフォメーションモデルの開発・拡充およびHL7RIMの拡充検討に重点 投入しつつ順次縮小することとした。
⑪ 重点事業の ISO/ HL 7 等国際対応は、J A HIS 委員活動を強化し外部依存度を順次削減することとした。 但し、2003 年5月に予定されているISO/ T C 215 の体制変更への対応はその詳細が明らかになる時点 で検討することとしこの計画には反映していない。
⑫ 重点事業である地域連携開発研究は、本年度事業を整理し、地域包括ケア情報連携モデル、データ 交換規約、セキュリティ・個人情報保護フレームワークの開発研究に重点投入することとした。
⑬ 事務局費については従来から推進している経費削減を一層強力に推進することとした。
⑭ 重点事業の情報インフラ整備は、IT 機能強化の要請に対応するため積極的に投入することとした。
7.おわりに
J A HIS では、中長期的目標設定の必要性を認識し、設立後すぐに「J A HIS21世紀ビジョン」を策定し、平成 12年にはこれを改定してきた。一方、日々の活動については、年度ごとの事業計画・予算計画に基づいて 全体活動を推進してきた。「JAHIS21世紀ビジョン」は理念を中心に検討したものであるため、この両者には 大きなギャップが存在しており、そのすき間を埋める中期の事業計画策定の必要性が明らかになってきた。 また、厚生省のグラウンドデザインでは年次別の具体的な構想が発表され、J A HIS としても数年間のスパンで 継続的に活動を進め目標を達する必要性も強まってきた。J A HIS の大きな目標や方向性を定めた「ビジョン」 に基づいて、数年間にわたる具体的な中期の計画を立案し、それを年度ごとの事業計画・予算計画に結び つけるという階層構造である。
そこで、6月に新設された戦略企画部では、15年度から3年間の中期計画を策定することとした。新体制が 発足してすぐに戦略企画部メンバである運営幹事や事務局次長・部長の方々と中期計画検討を開始した。 この中期計画を来年度の事業計画・予算編成のベースにする必要性があることから、10月末完了を目標に 夏休みを含めて2週間に1回の頻度で打合せを行い、その間、運営会議、運営幹事会で審議していただき、 何とか締め切りに間に合わせることができた。これも戦略企画部メンバの方々の熱心な作業の賜物であり、心 から感謝を申し上げたい。この間の議論の中で、各部門にまたがったテーマについて横の調整が進んだ。ま た、参加メンバが担当部門に限らず他の部門にも関心を持って全体調整ができたことも、大きな成果である。 今後この中期計画は、毎年見直しをしてその時点での見通しに基づいて改定を行ってゆく予定である。
中期計画は、昨年度の機能アップ検討プロジェクトで目指した、J A HIS の戦略的運営の柱に位置付けられ る。行政や学会、ユーザにも必要に応じてこの中期計画をご紹介して J A HIS の方針や計画について理解を 深めて必要な協力をさらにスムーズに進めたいと願っている。今後各部門でこの中期計画を積極的に活用し、 それに基づいた年度事業計画・予算計画に着 実に反映していただければ幸いである。
(運営会議議長兼戦略企画部長 尾崎 忠雄)